「東京都の定期報告(建築設備、特建、防火設備)は、いつ初回を届出すればよいのでしょうか?」
これはよく頂く質問であり、また、検査する側の備忘録としても役立つと思いますので、まとめておきたいと思います。
(この記事は東京都内限定です。)
まず、詳しくは下記WEBページを確認して下さい。
(東京都都市整備局 定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧)
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/chousa-houkoku/ch_03.html
以下、ある建物サンプル(共同住宅)を例として話を進めます。
建築物名称:○△□マンション 住所:東京都練馬区○△□1-2-3
構造・規模・用途:RC造 地上5階建て、延床面積・1,234m2、共同住宅(→ 定期報告対象)
報告対象の建築設備:非常照明のみ(無窓居室・火気使用室なし、増圧直結給水方式)
随時閉鎖式の防火設備:あり
(1F風除室隣の管理室小窓に煙感知器連動のパネル式シャッター※あり)※パネル式シャッターとは、ギロチンシャッター(俗称)、窓用防火ダンパー、降下型防火戸、等とも呼ばれます。東京都建築安全条例8条の避難経路区画(通称・8条区画)により、このような構造・状況で設置されていることが多いです。
確認済証の交付日:R2年2月2日
検査済証の交付日:R3年3月3日※※竣工日とは、「すべての建築作業が終了し建物が完成した日」、「完了検査を受けて検査済証が発行された日」「必要な検査が全て完了し依頼主が施工会社から建物の引渡しを受けた日」、などの各タイミングと混同しないよう、ここでは「検査済証の交付年月日」=「法的な竣工の日付」と考え記載します。
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- 建築設備定期検査(年1回) → 竣工後2年以内に初回届出
…… R3年 3/3日~R5年 3/3の間 - 特定建築物定期調査(3年1回※)→ 対象用途の報告年度2巡目で初回届出
…… R6年 5/1~10/31※の間 - 防火設備定期検査(年1回) → 竣工後2年度目に初回届出
…… R4年 4/1~9/30の間
以上のようになります、ポイントは、いずれも起算日は「(完了)検査済証の交付日」となる、という点です。
それでは改めて、それぞれの検査・調査の初回報告について説明します。
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建築設備定期検査(年1回) → 竣工後2年以内に初回届出
建築設備(及び昇降機等)については、新築・改築後、検査済証の交付を受けてから 2年を越えない時期に初回の定期検査報告を提出する必要があります。
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R3年3月3日以降~R5年3月3日までの間に初回届出、となります。
初回を届出するとそれ以降年1回・毎年の報告サイクル※が開始となります。
「竣工後2年弱の期間は届出なしでOK→初回(年度)免除」という考え方もできるでしょう。
※ 初回届出以降は前年届出月の数ヶ月前に、センターから実施案内・通知が郵送されてきますが、「届出は1年度内に1回、および、前回届出から最低6ヶ月は空ける」という点を守れば、実施タイミングは管理者側の裁量で移動可能です。
むしろ特に、年度末の3月に届出期限が重なっているような場合は、早めに再スケジュールして春~秋への検査予定の前倒しが、おすすめです。
何故なら、年度末の窓口混雑等の予期・意図しない理由でセンター届出が3月内に終了しない可能性があり、万が一そうなってしまった場合は、その過年度分は「未報告」となってしまい、かつ、次回以降は「前年度検査→次年度切替後にしか届け出できない」という状態に陥るためです。(同一年度内1回報告厳守、かつ、救済措置なしのため)
センター・行政が現在の報告年度の区切り・切替方法を変えない限り、建築設備を年度の後半にスケジュールしておくことは、苛烈な窓口混雑に巻き込まれたり、未届けとなって届け出年度のズレが残るリスクが高まるため、あまりおすすめしません。
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特定建築物定期調査(3年1回※)→ 対象用途の報告年度2巡目で初回届出
特建は、1巡目(初回)は免除で2巡目の報告年度で1回目報告を届出、となります。(※完了検査を受けている場合のみ免除)
東京都では用途で報告年度が決まっており、共同住宅は用途コード40番。3年1回報告で、令和3、6、9、12…年度となります。
「検査済証の交付年月日」により、その属する年度を0ゼロ年度目として、最短4年度目~最長6年度目、というように、特建は建物ごとに初回報告までの期間の幅が異なります。
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「検査済証の交付:R3年3月3日」が属する年度は「R2年度」=竣工0ゼロ年度目、となり
1巡目(初回)のR3年度は免除※(パス)、2巡目のR6年度・5/1~10/31※の間に初回届出、すればOKです。
※1巡目(初回)に届出しても、センター・行政には受付してもらえません。(任意報告不可)
※年1回報告の物件もあります。劇場・式場・大ホテル・大物販店など
※報告受付開始の5/1は厳守ですが、受付終了の10/31について、実際は、次の巡目サイクルの報告受付日(3年後の5/1)が廻ってくるまで、その該当年度の報告分として届出が可能です。10月届出となった場合は、混雑を避けた11月以降の持ち込みが可能なので、その10月末の期日に拘泥する必要はなく、あえて報告時期をずらすことも積極的に選択するべきでしょう。
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防火設備定期検査(年1回) → 竣工後2年度目に初回届出
新築・改築後は、検査済証の交付を受けた日の属する年度の翌年度以降の2回目の報告時期から、毎年報告が必要となります。
(0ゼロ~1年度目は受付不可、2年度目から受付可能)
用途コード10番台 毎年4月から10月
用途コード20番台 毎年4月から12月
用途コード30番台 毎年4月から1月
用途コード40番台 毎年4月から9月
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「検査済証の交付:R3年3月3日」が属する年度は「R2年度」=竣工0ゼロ年度目、となり
1巡目(初回)のR3年度は免除(パス)、2巡目のR4年度・4/1~9/30の間に初回届出、すればOKです。(共同住宅は用途コード40番)
以上のようになります。特に、特建は管理側でも調査・報告のタイミングを忘れやすく、また、行政側データベースへの登録・付番漏れもよくあり、センターからの実施通知ハガキも届くとは限らないので、予め報告時期を理解・予測・把握して、年間スケジュールに組み込んでおくと良いでしょう。
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